幽斎

キリング・ビューティー あどけない殺人者の幽斎のレビュー・感想・評価

3.8
本作は劇場映画では無く、テレビ・ムービー。アメリカのペーパービュー局「Lifetime」製作。ウォルト・ディズニーと雑誌「コスモポリタン」で知られるコングロマリットHearstが運営。北米で9400万世帯が視聴する中堅企業だが独自に映画を製作する事で知られる。局の最大の特徴は視聴者を女性に絞って放送、出演する側は勿論製作も女性が中心と徹底してる。基本的に白人以外を主人公にキャスティングしないので、経営方針は屡々政治的意味合いで取り上げられる。

本作はLifetimeオリジナル、原題「Good Deed」と表記されるが、これは国際版のタイトルで、Lifetime放送時のタイトルは「LETHAL BEAUTY」スペシャル・ムービーとして週末に放送。視聴率の良かったタイトルは、Amazonを中心に海外へも幅広くセールス。基本的に同局のムービーは100分が放送枠とされ、本作も87分と時間的にはサクッと観れる。テイストは私の親世代「火曜サスペンス」に近く(多分)、紹介した通り出演者も女性メインと徹底してる。奥様中心と言いながら旦那さんもしっかり喰らい付く様に出来てる、それは美女が出るから。

主演のHaley Webb、35歳が熟女ファンから見ても中々の存在感(特に胸が"笑"、日本で公開された作品は「ファイナル・デッドサーキット 3D」主演デビューの「ハンティング・ゲーム」等。TVシリーズではゲスト扱いで出演。もう1人の主演Haley Pullos、22歳「レディオ・オブ・ザ・デッド」「ワナオトコ」に出演。演技の幅が狭いとの指摘も有るが、可憐なルックスとは裏腹に下品で底意地の悪い役を演じてる。彼女の場合はサイコパスではなく「メンタルヘルス」不安定な感情に依る社会適応困難に該当する。オメガ・ヌーは有名な慈善団体。大学の奨学金を支給して卒業後もチャリティーを通じてメンバーの絆は固い。これをスリラーのトリガーに使うのは珍しいアプローチ。

演者は良いのだが製作陣がイマイチ、これが映画スタジオでは無いペーパービュー局の限界かもしれない。Craig Goldsmith監督は監督デビューした「The Wrong Nanny」が散々で、都落ちしてテレビ局のムービー製作。脚本のSandra Baileyは本作のVicky役で出演もしてるが、評価は芳しくない。短い時間でサスペンスを完結せねば為らず、局の特性から言って残忍な殺人シーンが有る訳でも無く、勘の良い人ならジャケットだけでシナリオが分る"笑"。予定調和なエンディングだが、制約の多い中で出演者の頑張りで最後まで観れる点は評価して良い。

良いなと思ったのはプロダクションデザインと衣装。ショップチャンネルに出て来そうな衣装の数々、途中でQRコードが出る?と思った。サロンや自宅のインテリアが何気に男が見ても目の保養に成った。登場人物も良い人が多く、日頃から殺人事件ばかり見てる人なら、人が次々と殺される作品だけど、妙に癒された。

「情けは人の為ならず」中国ウイルスで殺伐した生活ですが、巡り巡って自分に返って来るのだ。
幽斎

幽斎