モゲラ

ドリームズ・オン・ファイアのモゲラのレビュー・感想・評価

4.0
これはもっと観られてほしい!!!!
予想外の拾い物だった!

本作は現代の東京を舞台にしたダンサー映画だが、描写がとにかくサイバーパンク!
ギラギラ光るネオン、青や赤の人工的な照明が夜の東京を美しく照らす。
サイバーパンク都市TOKYOの異様さ、面白さ、そして美しさをこれでもかと描く。
これはカナダ出身のフィル・メッキー監督だからこその外部の視点が成せる業だろう。
本作が長編初監督作ということで、描きたいものがいっぱいあるのがわかる。
とにかく要素がてんこ盛りで、普通の映画なら許されないほど過剰に詰め込んでいる。
しかし、本作のもう一つ主人公ともいうべき「TOKYO」の、人や物が凝縮された都市と過剰な映画の構造がフィットして奇跡的なアンサンブルを生んでいる。

ストーリーはまさにダンス版『ロッキー』ともいうべき内容で、ダンサーを夢見て上京した主人公ユメが夢を追ってもがき続ける、という何百回と観てきたようなプロットだが、見事な演出とサブカルチャー描写で飽きさせない。

さらにすばらしいのが主人公ユメ役の仲万美だ。
田舎から出てきた朴訥な女性というう役を見事に演じている。
そしてとにかくダンスが美しい。
彼女は本作が映画初主演とのことだが、今後どんどん売れると思う。

一つ不満を述べるなら、主人公以外の女性キャラクターの喋りがひどい。
「~よ」「~だわ」などの現実から乖離した女性言葉はあまりに違和感がある。
これはフィル・メッキー監督がまだ日本語に慣れていないからなのだろうか?

本作『ドリームズ・オン・ファイア』は、現代サイバーパンク映画として、ダンス映画として、青春映画として申し分ない作品だ。
今後もぜひフィル・メッキー監督には日本を舞台に映画を撮り続けてほしい。
モゲラ

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