ピンピンピン

ドリームズ・オン・ファイアのピンピンピンのレビュー・感想・評価

1.0
あんまりにも雑すぎる作品だった。かなりびっくりした
脚本も雑、カメラワークも雑、主人公の成長物語と言われても何が成長なのかわからない描写
ぽかーんとしながら見つつも「ダンスシーンは良い」と聞いていたので楽しみにしていたら肝心のダンスシーンはカメラワークで…もう見てる間中イライラしっぱなしだった

別に出演したダンサー陣が悪いのではなく、長編映画を初めて撮る監督さんの問題だと思う
ダンサー陣は何組か生で見たことがあり、彼らのダンスは非常にハイレベル
なのにこの作品内ではその良さはカメラワークで活かされず、人数を半分に絞ってもっと尺を長くした方がダンスの良さが伝わるだろうに「ダンス展覧会」状態にしてしまったのでそれぞれの良さが半減している
アーバンダンスムービー!とか主人公ユメにダンスを辞めるくらいなら死んだ方がマシとか言わず、監督が海外輸出用にTOKYO underground を撮りたいから詰め込んだ!と言ってくれた方が私はまだ納得できる

これは本当に根本的に脚本が悪すぎで起きた悲劇だと思う
ポスターでポージングしている5組の3人は主要な役ではあるもののちょっと出てそれで終わりだとかどうやって想像したら良いのか怒りを覚える
また主人公ユメが「ダンスを辞めるくらいなら死んだ方がマシ」という理由も特に明示されていないので大前提としてダンサー志望者というのは把握できても成長物語と言われたら首をひねる
また作中で主人公ユメの保護者は厳しかった旨を仲間と話すシーンがあるが、家出する時点で足や手首に刺青が入っており、せめて上京してすぐの頃は塗りつぶしておかないと仲間との会話につながらないし何なら家出する時に「私のことは何も信用してくれないんだね!」との親子喧嘩シーンに至ってはそらそうだろ!!とつっこまざるを得ない

TOKYO undergroundパートに入ってもユメがどうしてダンスを辞めるなら死んだ方がマシとされるのかその起承転結の起の部分が不明瞭な為、ただドキュメンタリーを案内する空っぽの何かになってしまっている
主人公ユメがどの様な人物か特に掘り下げられず、ダンスパートのダンサー陣はもっと「ダンスパートに出演しただけ」なので登場人物としては使い捨てにされていて誰にも感情移入しにくい不思議な作品だった

しかしながらTOKYO underground を撮影するにあたって色彩はとても良いと思ったし、共感できるかどうかはおいておいてムードは伝わってきたのは確か
今後の監督さんの長編映画に期待はしている