1909年、アメリカ・ジョージア州。10代の少女セリーは産んだ子を奪われたのち望まぬ結婚を強いられ、唯一の心の支えだった妹とも離ればなれになる。1985年スティーヴン・スピルバーグ監督作のミュージカル版映画。
事前に観てとてもすばらしかったスピルバーグ版。ミュージカル版でどうアレンジされているのかが興味を引かれたところ。前者に比べるとドラマパートの演出はさすがに分が悪いと思われ、ミュージカルパートに感情がうまく繋がっていかない印象。それでも個々の楽曲は見どころで、特にダニエル・ブルックスが歌う「Hell No!」はインパクトがある。
長いあいだ重層的な差別のもとで虐げられてきたセリーは、シスターフッドの連帯に力を得てようやく自己肯定感を抱く。スピルバーグ版の当時よりむしろ現代にフィットするテーマにも思える。もっとも、「Hell No!」を突きつけるべき言動を日本では与党の副総裁がやっている今も100年前とあんまり変わってないのかもしれない。