コーディー

カラーパープルのコーディーのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.9
壮絶な家父長制や獣のような男たちに囚われ尊厳を奪われながら、それでも俯かず空を仰ぎ声を響かせるセリーの数十年に及ぶ闘い…
神に届かなくとも、自分を愛すことを歌い続けた女性たち。そんな新たな時代を手繰り寄せようとするパワー〝もうまっぴら〟に込められた生きる力が眩しかった!

何にも支配されない人生を夢見ながらも耐えるしかなかったセリーが自立した逞しい女性らと出会い打ち勝つ力に目覚めていく物語。
そんな数十年に渡る時間の流れを141分に収めてるので、どうしても心理的な厚みには欠けるし終盤の展開の軽さなど腑に落ちない部分もあるけど、それを補う演技や団結して未来を拓こうとするエネルギーに満ちた歌やダンスに心揺さぶられた。

と、ミュージカルの華やかさのお陰かスピルバーグ版に比べると重々しさは抑えめな気がするけど、変容する内面を繊細に表現するファンテイジアの演技は素晴らしかったし、彼女の心に刺激を与えるソフィアを演じたダニエル・ブルックスのパワフルな存在感が更に良くて、素敵過ぎた!

もちろん〝ミスターこの野郎!〟な都合の良さは感じたけど、女性だけが変化を迎えるだけでは何も解決しないというテーマは一貫してたし、特に食卓のシーンは凄く印象的だった。
そういう意味でもハーポの視点が変化への手がかりになってる気がした。
良い映画でした!