Jun潤

カラーパープルのJun潤のレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
4.0
2024.02.13

予告を見て気になった作品。
1985年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の作品を、ミュージカルとしてリメイク。

20世紀初頭、アメリカ南部にセリーとネティの仲良し姉妹が暮らしていた。
彼女たちの父・ハリスは、セリーが産んだ2人の子ども達を彼女の意思に関係なく生まれた直後に連れ去り、ネティに言い寄ってきたミスターに対して牛一頭と卵一個と引き換えにセリーを嫁がせるなどして虐げていた。
セリーが嫁いだミスター家は荒れ果てており、彼女が家事の最中にした些細な失敗に対して厳しく罰するなど、安息の場も無いような環境だった。
程なくして、父に襲われたことを理由にネティもミスター家に居候させてもらうことになるが、ミスターがネティに夜這いし、それを拒まれたことによって彼女は家を追い出されてしまう。
そしてセリーの長く孤独な日々が続いていくが、ミスターの息子・ハーポが連れてきた豪快な女性・ソフィアの存在や、ミスターの前妻で歌手になる夢を叶えたシュグの存在が、セリーを女性として自立していく道へと導いていくー。

この手の黒人差別や男尊女卑を描いた作品は今となっては枚挙にいとまがありませんが、リメイク元をまだ見ていないのでなんとも言えないところがあるものの、これをスピルバーグ監督が1985年の時点で製作していたというのがまた凄まじいですね。
さすが金字塔職人。
今作には関係ありませんが、そんなスピルバーグ監督も『ゴジラ −1.0』を鑑賞して山崎貴監督とツーショットを撮っているというのが、同じ日本人として誇らしいですね。

ミュージカル作品として観ると、挿入されるタイミングも当然のことながら場面の力強さがハンパなかったです。
時に現実を舞台に、時に想像上の空間を舞台にした、役者陣の表情やパフォーマー陣の体捌きなど、観応えが抜群でした。

作品の主軸としては全体的に“因果応報”だったなという印象です。
ハリスやミスターなど、作中セリー達を虐げ続ける姿が描かれてきたキャラクターには相応の結末が待っていましたし、本来の「原因と結果に応じて報いがある」というのはセリーの物語の結末に相応しい言葉だと思います。

邦題は原題のままで、その意味も『紫の色』。
個人的な解釈としては今作から二つの意味を感じ取れました。
一つ目は男女。
海外のことはよく知りませんが日本では男は青、女性は赤で区別されることが多くありますが、男は外で働き、女性は家の中のことを全てやるという旧態依然とした体質のままでいるのではなく、それぞれが歩み寄った結果の『紫の色』を目指していくということ。
二つ目が人間が認識できる色。
人間の目が識別できる3色のうち、青色と赤色、両方の色をどちらも見る、作中では広い世界を見るとも表現されていましたが、そうすることでしか、混ざり合った『紫の色』を識別することはできないということ。
こんな風に解釈を広げられる余白がある作品というのは、やはりいつ観ても良いものですね。
Jun潤

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