ひでG

カラーパープルのひでGのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.9
「ボー〜」とどっちか悩んだ。
僕の見ているのは何だ?みたいに迷いながら進む道も楽しいけれど、今日は王道をゆっくりした気持ちで歩きたい気分。
そう、行先がはっきり分かる道を行きたくなって思って、本作をチョイス。

結論から言えば、休日の朝に落ち着いて、委ねて観るにはピッタリの良作だと思います。

1985年のスピルバーグ監督作は、確か観ているはずですが、正直あまり覚えていないのです。この機会に「再見」してみたいです。
薄らですが、感動よりも衝撃的な場面があったように記憶しています。ひょっとして他作と混同しているかもしれません💦

スピルバーグから10年後に、ブロードウェイでミュージカル化され、ミュージカルの最高賞も受賞するほどの大ヒットミュージカル作品となりました。

今回の再映画化は、出演者も舞台と同じなどブロードウェイ版を基にしているとのこと。
だから、歌唱やダンスのクオリティの高さやドラマ内でのタイミングなどミュージカルとして完成されているなと感じました。

その反面、原作やスピルバーグ版よりソフトな仕上がりになっているようです。
実の父に性虐待を受け、その子も奪われしまうセリー。(ここら辺は「こーゆーことがありました!」とさらりと伝えてます。)

SEX付きの奴隷のようなミスターとの結婚は何一つ自由のない地獄のような日々でした。
唯一の心の支えだった妹のネティとも別れさせられます。

物語は南北戦争後、黒人も一方的な奴隷的立場から徐々に解放され、黒人だけのコミュニティを形成し始めます。だから、本作の登場人物は殆どが黒人です。

自らの先祖は、長く辛い差別的立場に置かれていたのに、ミスターと呼ばれるセリーの旦那は、自ら暴君となって差別をする側になっています。

差別は差別を、暴力は暴力を、生み出すことをここからも学ぶことができます。

そんな男性社会に「NO!」を身体を張って抵抗する女性がソフィアとショグです。2人の力強いナンバーは、セリーとともに観客をも励ましてくれます。
洗練されたダンスや歌唱は、セリフの何十倍も説得力とエモーションがありますね。ソフィアとシュグの生き様が全て詰まっている、この映画の見どころの一つです。

ラストは、ミュージカルのカーテンコールのように、手を取り合って、みんな笑顔で歌い上げます。

予定調和的、ブロードウェイ的な締め方で
それが甘いと思う方もいらっしゃるでしょうが、こーゆー作品もたまには良いもんです。  

爽やかな感動をありがとうございました!
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