よ

カラーパープルのよのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.5
結末の分かっている物語を見つづけるには、根気がいる。
だから制作陣は派手なアクションや小粋なユーモア、凄まじい美人や魅せる演技などを用意するわけだ。歌やダンスもその一つといえる。
この点から評価すれば、残念ながら本作は微妙である。たとえば『オペラ座の怪人』や『グレイテスト・ショーマン』、ディズニー映画の数々と比べてみてほしい。街角で流すだけで客を引くような音楽があったか、否である。
その巧拙がそのまま鑑賞体験に繋がる結果となった。

かといって、この映画に低評価をつけることはできない。
それは私がポリコレに配慮しているからではなく、本作のように黒人主体の映画が増えたら面白そうだ、ブルースやソウルといった黒人音楽とおなじように「黒人映画」とも呼ぶべきジャンルが生まれうるのなら観てみたい、という期待によるものである。
そして、もし「黒人映画」が生まれるとしたら、それは本作のように黒人音楽を伴うのではないか、黒人の歴史を背負いながら世界を獲った黒人音楽とならそれが出来るのではないか、という可能性を提示するものでもあったからだ。
よ