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帝銀事件 死刑囚のyadokariのレビュー・感想・評価

帝銀事件 死刑囚(1964年製作の映画)
3.1
ドキュメンタリー手法で感情移入を廃するドラマのように思えた。それだからけっこう論理の積み重ねの映画だからか見るのも疲労してしまう。それが報われることなく未解決事件となるのだから。NHKの「松本清張の『帝銀事件』未解決事件」は松本清張という視点が感情移入のポイントとしてあるのでドラマとしてわかりやすいのだ。熊井啓『帝銀事件』もほとんど同じテーマだと思うのだが、監督に感情移入するというのは難しい感じがする。せいぜい記者ぐらいなものなのだが、その記者もGHQという権力の前では虚しい存在なのだ。結局事件解明へと進むわけではなく徒労する映画になってしまったのだと思う。ただそれは無駄な映画というわけではなく、そうした告発していく映画が必要だということだ。

松本サリン事件を扱った『日本の黒い夏─冤罪』もこのスタイルだったがこれも感情移入しにくい映画だったような気がする。

それにしてもこの映画では刑事も記者も酒ばかり飲んでいるな。酒に溺れていく映画なんだろうか?
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