片腕マシンボーイ

三月のライオン デジタル・リマスター版の片腕マシンボーイのレビュー・感想・評価

3.7
ポスターはどこかで見た記憶はあったけども、1992年公開当時はガキンチョだったマシンボーイは、ストーリーも知らんし、もちろん若者に熱狂的に愛された映画だとも知らなかった
リマスターされ公開中の本作、うん、このポスター可愛いよねぇ、つって鑑賞

兄ちゃんが記憶喪失?シメシメ…、記憶が戻るまで大好きなお兄ちゃんの恋人になってやるってばよ!って話

いやぁ…ヒロインのキュートな事よ!ぺろぺろ
あどけなさとエロスが混在するアイスちゃんは愛する兄を騙して近親相姦するっつ〜とんでもない女なんやが、それが変態的だったり不快なモノだったりには見えず、あくまでも彼女のピュアな心の生んだ愛ゆえの無邪気な行動でしかなくて、その無鉄砲な嘘も愛しいし、兄の記憶が戻ることに対する彼女の怯えも哀しい

同じく兄を愛した妹の愚行を描いた作品に、その罪の形は違えども、同じ矢崎監督の最新作「さくら」がある
これを当時観た西加奈子が、のちに「さくら」を書き、それを読んだ矢崎監督が「さくら」撮りたい!なる、っつ〜物語が頭の中にひろがる(妄想)
ただ、しっかりとその罪に対する嫌悪感を煽った「さくら」と違い、本作では矢崎監督はその罪を俗識では捕らわれない無垢な愛として清く描いてるからば、本作はラスト直前までは、美しくてお洒落な写真集のような映画として観るものを魅了する

アイスちゃんはおかっぱ頭にガーリーな花柄フリフリミニスカート、無骨なオーバーサイズのレザージャケットを羽織って、赤いハイヒール、そしてバッグの代わりにアイスキャンディーをたっぷり詰め込んだ大きなクーラーボックスを肩にかける!っつ〜のが定番スタイルなんやが、まぁキュートで絵になるし(ただ、いつもサスペンダーを前後逆に付けているんはなんや?流行ってたんかな?…なんかバッテンが前にくると赤ロープで緊縛プレイでもしているように見えるんやが…)
雑然とした小汚い2人の部屋も、間もなく取り壊されるマンションも、個人商店の裏に広がる庭も、そこから見える大都会も、盗んだバイクで危険走行する兄と妹も、口紅上手くひけないアイスちゃんも、発破で崩れ落ちる巨大な壁までも、全てのシーンが写真集の1ページの様に計算し尽くされ美しい
新宿の交差点のド真ん中で兄にプレゼントされたばかりのパンツにアイスちゃんが喜びはきかえるシーンの可愛さとかもう度を越しているよな!ぺろぺろ

そんなお洒落で可愛いシーンの数々にキュンして、アイスちゃんの一途な思いに涙していたらば…
なんやあのえげつないラストシーンわ!いや〜、マシンボーイ的にはまぢ初春の夜の夢の様な物語で終わって、アイスちゃん可愛かったなぁ…今撮るならばふみふみとかピッタリな気がするよな!なんて、キュンキュン劇場を出たかったんやが
げぇ…これまぢ、最後の最後にめちゃ爆弾落としてくるやん、兄ちゃんは記憶が戻った事をちゃんとアイスちゃんに伝えたんかな?あの兄ちゃんの最後の表情なんなん…つってめちゃアタフタしたよなぁ

あ……もひとつあった衝撃シーン、ワンコロ投げ捨てたババアまぢ許すまぢ、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….、とりあえずアイス食いながら復讐計画練るってばよ!