深獣九

地獄の花園の深獣九のレビュー・感想・評価

地獄の花園(2021年製作の映画)
3.5
「会社員は喧嘩が強くなくたっていいんだよ!」

この映画のただひとつの、意味あるセリフ。

そういうわけです。

『地獄の花園』は女ヤンキー(レディース)のカタログである。
狂犬、悪魔、大怪獣、稲妻、虎河豚、魔王、鬼……すべてOLの二つ名だ。
OLたちを演じるのは元アイドルや元モデル女優、個性派女優、女芸人、おっさん。みんなのコスプレが楽しい。全員怪物だけど。

ストーリーは純度100%のヤンキー漫画。登場人物をOLにしただけ。完全にバカリズムの悪ふざけだ。徹底してるから面白い。

ガラス張りの超きれいなオフィスビルで、ヤンキーの抗争が繰り広げられる。廊下、ロッカールーム、ロビーなど、ところ構わず勃発する喧嘩の隣で普通の会社生活が営まれてるのが良い。日常と異界が薄皮一枚隔ててそこにあるというのは、ちょっとホラーじみてる。好き。

遠藤憲一率いる3人衆(勝村政信、松尾諭、丸山智己)が、OL設定なのにぜんぜんおっさんを隠してないのがいい。

ようするにコントなのよね。そういうのに腹を抱えて笑う私は、まんまとバカリズムの手のひらで踊らされてるわけだ。あー楽しい。

なんにもないけど全部おもしろい102分。観る価値あり。
深獣九

深獣九