けーはち

ある用務員のけーはちのレビュー・感想・評価

ある用務員(2020年製作の映画)
3.2
ヤクザの息子が殺し屋として成長。亡き父親の盟友にして仇敵で、自らの育ての親でもある男を殺し、その娘を学校の用務員として見守り続け──韓流ノワール「ある会社員」を踏まえたタイトルの通り韓流映画はもちろんとして、香港ノワール、日本のヤクザものにリスペクトを捧げた、義理人情と恩讐の果ての殺し合い/愛を描く、現代風ヤクザものハードボイルド・アクション・スリラー。一方、阪元監督が後作の「ベイビーわるきゅーれ」などで定評を得る、「殺す・殺されるが当然な殺し屋の日常業務・生活の中で、命のやり取りや暴力の中にも弛緩した軽いやりとりを交わす」オフビートな話型の片鱗も窺わせている。とはいえ、全体に陰鬱なトーンでドラマを見せようとする本作ではユルいキャラは異物感がある。売りの近接射撃・格闘アクションをケレン味たっぷりに魅せ、要素要素は惹かれるものの、まだまだ振り切れておらず生硬に過ぎるといった試行錯誤の一作ではある。