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新宿インシデントのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

新宿インシデント(2009年製作の映画)
4.3
中国東北部で働いていた鉄頭(ジャッキー・チェン)は、留学したまま消息を絶った恋人シュシュ(シュー・ジンレイ)を探すため、日本に密入国する。同郷の阿傑(ダニエル・ウー)を頼ってたどり着いたのは新宿歌舞伎町。だが、生活のために日雇いの仕事に追われる毎日に、シュシュを探す暇などなかった。ある日、彼の仕事場に警察の手入れが入る。逃げ出した鉄頭は刑事の北野(竹中直人)に追われるが、北野は下水道に転落。溺れかけた彼を助けたのは鉄頭だった。借りを作った北野は鉄頭を見逃す。やがてナイトクラブで働くようになった鉄頭は、シュシュを発見。だが、彼女は既に新宿を仕切るヤクザ、三和会幹部の江口(加藤雅也)の妻となっていた。その事実にショックを受けるが、出国時に官憲を殺していた鉄頭には帰る場所もなかった。新宿で生きるしか残された道はないと腹をくくった彼は、やがて犯罪に手を染めていく。ある日、中国系ギャングから拷問を受けた阿傑の仕返しに向かった先で偶然、鉄頭は殺されかけた江口を救う。彼を自宅まで連れ帰った鉄頭はついにシュシュと再会。江口は二人の関係に気付くが、鉄頭を自分の野心のために利用しようとする。跡目相続で揺れる三和会。その後継者候補を暗殺して自分がのし上がろうというのだ。そして、対立派閥の後継者候補2人は鉄頭により暗殺され、江口が三和会会長の座に着く。こうして、表では東華商事という堅気の商売をしつつも、鉄頭はいつの間にか日本最大の外国人組織のトップに立っていた。だが、彼とは反対にギャングの襲撃で片手を失った阿傑は人柄が豹変。柔和だった性格は凶暴になり、麻薬取引にも手を出す始末。それが江口の差し金と知った鉄頭は、江口の犯罪を追う北野に、跡目争いの際に自分が行った殺人を告白する。だが同じ頃、江口の対立組織が東華商事襲撃を企てていた……。
ジャッキー・チェンが、初のR指定作品に主演した問題作。
ジャッキー・チェン演じる鉄頭が、恋人を追って日本に密入国して、生きていくために低賃金の日雇い労働したり、偽装テレフォンカードの売買やクレジットカードの詐欺などの違法行為で荒稼ぎし、日本のヤクザ江口と組んで荒稼ぎした金を合法的な企業活動にロンダリングして暗黒街を成り上がる展開の中で、中国の移民の非情な状況を浮き彫りにしていく馳星周の暗黒小説張りの暗黒のどんずまりの状況を這いずり回るようなクライムノワールが、過激なバイオレンスシーン満載で描かれ、自分を捨てた恋人に未練たらたらで恋人を取り戻すために詐欺や殺人にまで手を染める鉄頭を熱演し演技が出来る俳優として評価されたジャッキー・チェンやホルモンはみ出した死にざままで披露したダニエル・ウーや竹中直人や加藤雅也などの熱演、新宿歌舞伎町や大久保などでの日本ロケが見応えあるクライムノワール映画。
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