FRANCIS

新宿インシデントのFRANCISのレビュー・感想・評価

新宿インシデント(2009年製作の映画)
4.5
ジャッキー・チェンがイメージ一新を図った日香合作バイオレンスノワール。

中華マフィアと、日本ヤクザの抗争を描いた本作では、香港映画の生々しさに相まって、『仁義なき戦い』や北野武作品へのオマージュを交えたダークで骨太なストーリーは邦画としての強みが生かされている。

演技面では、ジャッキーが犯罪に手を染めていく中で、日本へ根を下ろし普通に生きていくことを夢みるも、完全な悪にも善人にもなりきれなず苦悩する男を好演。脇を固めるファン・ビンビンや竹中直人、悪役商会の面々など日中のスターが持ち味を最大限に生かしていて良い。

そして、肉体破壊シーンやジャッキーの濡れ場などショッキングなシーンの連続など全く新しいジャッキー映画への試みも見られた。後者には哀愁のみを感じさせるもので上手く機能していたとは良い難いが、果敢な挑戦だったと感じる。

目を惹く過激さもさることながらそれに留まらず、中国人の不法入国から違法労働、ゴミ問題・騒音問題と、現代的な問題に切り込みを入れ、同時に壁を乗り越えての共存の大切さも問いかけるメッセージ性がこの映画の素晴らしさだ。
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