さく

戦場のメリークリスマス 4K 修復版のさくのレビュー・感想・評価

4.5
『御法度』と二本立てで新文芸坐にて鑑賞。有名すぎる坂本龍一によるテーマ曲と、「メリークリスマス❗️ ミスターローレンス❗️」以外の予習は無しでの鑑賞だったため、この往年の鳥肌実みたいな役者(ヨノイ大尉役)は誰だ? と疑問に思いながら見ていたのですが、坂本龍一だったのですね。演技に関しては賛否両論あるようですが、上手い下手を超越した独特の存在感とキャラを演じてくれているので、ナイスキャストだと私は思いますWikipediaによると、ヨノイ大尉の役は三浦友和や沢田研二等が当初の候補だったそうですが、スケジュールが合わず坂本龍一になったと。かえって良かった! しかも、先に音楽担当として坂本龍一がキャスティングされたのではなく、役者として出演が決まった坂本が大島渚監督に「音楽もやらせてかれ」と直談判したらしく(これはWikipediaには載ってない)、何という運命の悪戯か。

本人は「自分の演技がひどすぎる」と滅入っていたらしいたけしですが、内田裕也、ジョニー大倉の両出演者が「全部もっていかれた」と言ったエピソードを聞くまでもなく、たけしはハラ軍曹を名演。ハラ軍曹もまた、緒方健、勝新太郎という強烈な配役も予定されていたようですが、坂本龍一同様にスケジュール等が合わずにビートたけしに。結果、ハマり役過ぎて、これまた何という運命の悪戯か…。生まれるべくして生まれた名作ということですね。

たけしに関しては、後年の自作品における抑えた演技も(上手いとは思わないけど)味があってヘタウマ的に良いと思うのですが、本作では例のシーンに代表されるように、この時期のビートたけしにしか出せないギラギラした感じとかを含めて大島監督が魅力を全部引き出したと思います。大島渚監督は『御法度』における松田龍平もそうでしたが、「その時期のその人でなければ出せない魅力」を引き出すのが最高に上手いですね。

デヴィッド・ボウイにしても、ロバート・レッドフォード、ニコラス・ケイジがオファーを断ったことで実現した配役とのことで、これまた結果的には良かった。ヨノイ大尉との例のシーンも、レッドフォードでは男臭過ぎて嫌だし、ボウイのフェミニンな魅力あってこそでしょ!

『御法度』に続きこういうレビューばかり書いていると「そっちの気」があるように思われそうですが、私は広瀬すずちゃんとな松岡茉優ちゃんが好きなんですよ。かしゆかと山本彩ちゃんも好きなんですよ。好きな女性を全て挙げ出すとドストエフスキーの小説くらい長くなるのでこの辺りで止めておきますが。
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