C和夫

戦場のメリークリスマス 4K 修復版のC和夫のレビュー・感想・評価

5.0
新国立劇場、ってか東京オペラシティのコンサートホールの名前は、
タケミツ メモリアル
作曲家・武満徹氏の名前を冠したもの。
 でも、50年後でも100年後でもいいから建て替えのときはリュウイチ メモリアル
とすべきだ。

坂本龍一の音楽が無かったら、三流のB級映画。
戦争映画なのに、戦闘シーンもないし、空母も零戦も出てこない。
 前提知識として、日本人は捕虜になったら、自決すべき、
つまり敵に捕らえられて捕虜になるぐらいなら、「自殺しろ」「恥だ」
という教えがあったのだ。それが日本軍というか日本人の特性だった。

ところが日本以外の国の人たちは、たとえ捕虜になっても、
どんなに辱めを受けても、「生きて故郷に帰ってくる」
これが名誉なこと、という教えだった。

映画を見た当時には、そんなことは知らなかったし、
学校でも当然、そんなことは教えてくれなった。
そんなこと?
いやいや、学校で教えるべきなんじゃないか?
文部科学省など日本人への「戦争についての教育」って、
二度と戦争しちゃいけない、とか、他国を侵略しちゃいけない、とか、
そういう「反戦」しか教えてない。大いなる問題、欠陥だと思う。

映画のテーマは、東洋(日本)と西洋の違い、生き方の違い、
日本人が美徳だと思っていることが、西洋人にとって違和感でしかない、
というもの。
ボーイズラブだホモ映画だBLだ、などと論評する前に、
もっと大人が正しい「前提知識」を教えるべきだと思う。

坂本龍一は、この映画で「音楽をやらせてください」と大島渚監督に直訴して、
監督も快諾して任せた。
この映画をキッカケに、「ラストエンペラー」でイタリア人監督にしごかれて、アカデミー音楽賞、つまりオスカー像を獲得した。

とにかく、坂本龍一の音楽がほぼすべてであって、それが無かったらB級映画です。
C和夫

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