トガシパンダ

戦場のメリークリスマス 4K 修復版のトガシパンダのレビュー・感想・評価

4.8
これはロレンスを通してみる、戦争というより人間の映画。

ロレンスがハラを日本人という枠組み以外に、彼の情に熱い人間性を見抜いて接していたからこその友情なのだろうなと思った。メリークリスマス、ミスターローレンス。英題のタイトル回収が本当に良い。
日本人が悪いのではなく、そういう思考に陥るようにした国が悪いとロレンスはずっと訴えていた。

ヨノイとセリアズに関しては、一種の信仰のようななんというか。作品の最初の方で兵士の事柄をホモセクシュアルだと片付ける描写をあえて触れることで、ヨノイの烈々とする感情は単なるホモセクシュアルではなくて、信仰心なのか、敗戦への虚勢なのか、考えさせられるな。極限状態に陥っていく様。狂ってしまっている自覚は、自他共にあるだろうにそうせざる得なかったような。死に逝くセリアズの髪を切り取ったのは慕情であって、セリアズが死んだ後も大事に持っていただろうな。最後に神社に祀るよう頼むのはやはり信仰心なのだろうか