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戦場のメリークリスマス 4K 修復版のaynのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

個人を憎むことはしない、というロレンスの姿勢が印象的な映画だった。集団で狂っていく日本人たちの理不尽な行為を咎めることはしても、それでその理不尽な行為を振るった本人を嫌ったり痛めつけたりはしない。日本人たちもまた戦争に巻き込まれた「犠牲者」なのであり、理不尽行為者に対してロレンスが個人的に何か下そうとしたとしても、それは意味がなく、また的外れだと知っていたのだと思う。負傷者、戦死者だけではなく、権利者以外の全ての人が「犠牲者」となってしまうのが戦争なのだろう。
セリアズとヨノイの関係について、セリアズがヨノイに対し過去の自分を見出している(セリアズ弟⇄セリアズの関係=セリアズ⇄ヨノイ)レビューがあり、興味深かった。あのキスはただのフェティッシュな演出ではなく、プライドによって目の前で罰すること(≒ヨノイによる処刑行為)を看過してしまった自分を許す行為だったのだという。たしかにそう思うと死後の兄弟の再会は分かりやすいかもしれない。
何の事前情報もなく見に行ったけれど、見て本当によかった。
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