ワイズマンはすべての人の物語を心から信頼してる人なんだろうな。誰もが語るべき物語を持ってるということから目をそらさない、でもつついたりしない。だからいつも体感時間は1時間半。
あれだけの数の路上駐車なのにみんな弁明のチャンスがあるんだね。やむを得ないケースはあるだろうけどそこまで手は回らないと思ってた。無数の違反者の中には「妻が産気づいて」っていうご祝儀おくりたくなるパパから「禁止の標識が見えなかった」「誰も住んでないだろ」しかリピートできないゴネおじさんまでいて、まあ話は平等に聞いてもらえるみたい。彼らはディベートしながら育ってるから内容はあれでも発声や身振りがちゃんとしててわりと聞けてしまう。
まるで無編集のライブみたいに見えたらそれは自分のイリュージョンが成功したということ、とワイズマンが断言するようにあるがままを撮る方法はない。どこでカメラを回すか、どこを編集で切り落とすか、すべて思想と政治の産物という覚悟を背負いながら人の話を聞くのをやめないのが尊いよ。