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楽園の夜のTAMUのレビュー・感想・評価

楽園の夜(2019年製作の映画)
4.2
待ってましたのパク・フンジョン最新作。
韓国ノワールの大傑作『新しき世界』の監督♪
近作では『魔女』も良かったのだが、ノワールの世界に戻ってきたということで、期待も高く。

加えて、Netflix作品というのも最早プラス要素。外野から制作に関する注文が少ないと聞くし、監督が作りたいものが、そのまま見られると興奮気味に鑑賞。

舞台はタイトルの楽園が指す済州島。美しい自然を背景に、ノワールと記憶を辿る限り、監督初のロマンスが描かれる。

『新しき世界』に描かれたエレベーターの中での乱闘シーンよりも狭いとある場所での乱闘など監督のやりたいことが詰まっているのは間違いなく、自分はもうそれで満足w

キャストでは、先ずテグ(オム・テグ)が良い。ぶっきらぼうで物静か、そして何よりしゃがれた声にシビれる。

生まれ変わるならチョン・ウソンになりたいが、それが叶わないならオム・テグが良い。

そして何が良いってマ理事(チャ・スンウォン)のアクが強すぎて最高!
何事にも動じない芯の強さは『新しき世界』のジュング様を彷彿とさせるが、マ理事はナイスミドルということもあり思考がクレバー。

ラストのほうで、引き戸閉められて、痛っ、てなるのお茶目で超気に入ったw

パク・フンジョン監督作の敵だってクズではない描き方好きだわ〜。

本作のクズはヤン社長(パク・ホサン)。ドラマ『私のおじさん』を見て以来、見るだけで涙腺を刺激されていただけに、正気に戻る勢いw

物語はもの悲しい雰囲気に包まれ、予想される結末に突き進んでいく感じで、予想だにしない展開にならなかったのは、フンジョン監督作品としては少し残念か。それは欲か。

本作は、済州を背景にした喫煙シーンが随所に。察するに、ここをきちっと映像化したくて、Netflixを選んだか。
できれば大きいスクリーンで見たかった。
映画はダメでNetflixはOKはどうなのか…

ついでに本作。同じ南国、バイオレンス、随所に笑いが散りばめられる所を含め『ソナチネ』を思い出す。ソナチネもまた見たくなった。
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