sayana

マルコム&マリーのsayanaのレビュー・感想・評価

マルコム&マリー(2021年製作の映画)
4.3
知的で上質な会話劇。人間臭くて生々しくて大好き!二人とも頭が良い故にかなり面倒臭いタイプの人間。でも対照的に映像がスタイリッシュだから観ていて全然飽きない。会話を逃さまいと全集中してた。
相手を傷付けたくない(自分も傷付きたくない)からあえて口にしないこと(忖度)って割とあると思うけど、二人の関係性はもはやそのレベルを通り越してる。恋人同士であることを疑ってしまうくらいに相手への攻撃と自己保身を繰り返す二人。でもこれは絶対的な信頼関係が前提にあり、お互いどんなに時間がかかったとしても必ず理解してくれると信じているから。
感情的になるけど、勢いで「別れる」と言うことがなかったのが普通のカップルの喧嘩とは違うところ。仲直りしかけてはまた新たな理屈で巻き返すのは、本当なら目を伏せたい相手の嫌なところにも必死に向き合おうとしているから。互いの短所を認めるためにあえて自ら火種を蒔いてるようにすら見えた。憎み合ってたら早い段階でそもそも一緒にいないし、二人ともあえてあんな「嫌な奴」になって、自分の汚い部分までも相手に愛してほしいと訴えていたんだと思う。
口論や喧嘩ってやっぱり関係悪化を危惧して事前に避けたいと思ってしまいがちだけど、相手を愛するなら良い部分だけでなく、悪い部分も愛せないとだし、自分の嫌な部分も曝け出さないと…。「愛する」の前に「好きになろうとする」が先にあることを知りました。
私も一度誰かと世紀の大喧嘩して、めっちゃラブラブになりたいです。
ゼンデイヤはメイクとドレスバチバチの姿ももちろん綺麗だけど、すっぴんになった途端、一気に幼さが滲み出て、繊細でか弱い少女になるね。
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