このレビューはネタバレを含みます
公民権運動やミュージシャンの伝記物が大好物な私ですが、この作品はあと一歩入り込めませんでした。
演技、演出は良かったのですが、壮大なタイトルにストーリーが合ってないと思います。麻薬取締局が汚い手を使うものの、冤罪というわけでもなく、ビリー・ホリデイ本人にもかなり問題があると感じました。ある意味、正直に描いているんでしょうが、タイトルから期待してしまう国家権力と闘った女性というイメージからは程遠いです。
また、肝心の「奇妙な果実」を歌うシーンも挿入される場所が中途半端ですし、特に南部で歌ったシーンはもっと深掘りした方がドラマティックだったのでは?
アリサ・フランクリンの「リスペクト」やレイ・チャールズの「レイ」でも本人たちの負の部分を描いていたのは同じですが、本作の場合、タイトルが大見得を切り過ぎて、損している気がします。