まっしろしろすけ

ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイのまっしろしろすけのレビュー・感想・評価

4.0
アーティストに焦点を当てた音楽映画は優れたエンタメ映画が多いイメージがあるけど、ここまで重く暗い音楽映画は新鮮で面白かった(面白かったと安易にいってしまっていいのか微妙な内容だけど…)。

ビリーホリデイが奇妙な果実を歌ったことの意味、この歌が持つ革新性やメッセージの普遍性を知れるのはもちろん、この曲が’39年に発表されて80年余りが経った今でもこういった映画が作られてしまう変わってなさには悲しさも感じてしまう。

アフリカンアメリカンの方々が何に対して怒りを感じているのか、奴隷制度の負の遺産をビリーホリデイを通して現代の僕らに伝えようとしている。アーティスト一個人の物語を超え、アメリカ史、人種差別の歴史を描こうという試みはこれまでの音楽映画とは一線を画す部分だと思う。

このジャンルの中でもトップクラスに好きな映画、主演のアンドラ・デイはボラプのラミ・マレック並みの憑依芸を披露してるし、もっと評価されてもいいんじゃないかな?この映画、応援する意味も込めてこの点数。