ペコリンゴ

戦慄のリンクのペコリンゴのレビュー・感想・評価

戦慄のリンク(2020年製作の映画)
3.3
記録。
読んだら、タヒぬ

『リング0 バースデイ』『予言』等を手がけたJホラーの父こと鶴田法男監督が中国で制作したサスペンススリラー(建前。本音はホラー)。

大学3年のシャオノアは従姉妹の不審な死に疑問を抱き、犯罪心理学に詳しいマー・ミンに協力を仰ぐ。やがて従姉妹のPCからネット小説「残星楼」を発見したシャオノアはその最終章を読むが、同時に怪奇現象を体験。これを機に小説の謎を探り始めるシャオノアとマー・ミンであったが、小説に関わっていた人間が1人、また1人と死んでいき、やがて…。

この作品を語る上で外せないのは、
中国では幽霊が登場する映画は検閲でNGとなり、公開できないということです。

その一方で、中国のホラーファンはJホラーを愛好しているらしく、ダメと言われる物にこそ執心してしまうのは万国共通といった所でしょうか。

まぁそんな気運もあって中国の映画会社のオファーにより制作されたという本作ですが、やはりかなりのやり辛さがあった様子。

現地の”分かってない”脚本家をチェンジ、度重なり食らうボツ…しかも原作小説準拠の脚本ですら霊的存在の登場によりNG(小説は良くて映画だとダメなのか…)であったようで、相当の苦労が伺えます。

それを念頭に置いて観れば、
本作のマイルドと言わざるを得ない恐怖演出は苦節と健闘の結果であり、自ずとハナマルをあげたくなることでしょう。

長い黒髪で白服の不気味な女、何か得体の知れないものがそこにいる不安感は古き良きJホラーの香りがしっかり漂っており、ホラー慣れしてない方にとっては充分怖いかもしれません。

僕の体感では、本作イチのビビりポイントは「雷の音」でして、その点においては非常に残念なのですが、昨今量産されているポンコツJホラーと並べてみると、相対的に手に取る価値があるものに思えました。

ただねぇ…。

元も子もないのですが、心霊とデジタルの食い合わせってのがどうにも好みではなくて…。その辺は謎解きの結果一応の折り合いがつくものの、そんなのアリ?って感じで個人的には冷めました。

まぁストーリー自体は悪くないと思いますし、鶴田監督が「検閲Fu●k!」とか思いながら作ってたと思うとなかなか楽しいですかね〜。