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脱走戦線 ソビボーからの脱出のmhのレビュー・感想・評価

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ソビブル絶滅収容所からの大規模脱走が題材。内容はエンタメ映画っぽいけどほぼ史実通り。
テレビ映画で3バージョンあるうちの120分版を視聴。ほかに176分版、143分版があるみたいで、全編ようつべにあがってる?
クロード・ランズマン「ソビブル、1943年10月14日午後4時」には登場しなかった生存者のかたの著作が原作。映画の技術顧問も勤めたとのこと。
視点は違えど、「ソビブル、1943年10月14日午後4時」と全く同じことをやっているため、物語としての強度があるよう感じられる。
ドイツ、ポーランド以外から送られてくるひとたちは、一般的な客車で来るというあたりも再現してあった。入所手続を円滑にするためのレコード放送、荷物引換券などもある。
自由時間には音楽を楽しみ、セックスまでしていたという、技術労働者たちの生活が興味深い。「灰の記憶(2001)」ではえらく辛気臭い環境だと思ったが、その先入観をいい意味でぶち壊してくれる。
すぐに殺されてしまったひとたちについては、全裸で並ばされているシーンが有るくらいで、ほかはほぼノータッチであることもリアルだった。
中盤から出てきたかっこいいルトガーハウアーがかっこいい。ソ連軍の将校アレクサンドルペチェルスキーも「ソビブル――」には登場しない。
Wikipediaによればドイツ軍に捕らえられたソ連兵は、健康診断で割礼しているのがバレると全滅収容所送りにされていたとのこと。
脱走計画を話し合うことをカモフラージュするために、ドイツ系ユダヤ人の娘と恋に落ちたことにする設定が、実話だったのもびっくり。シャツのくだりも本当にあったことみたい。すげーな。
ラスト四十分の大脱出は見ごたえあった。機銃掃射と地雷原を強行突破していくシーンが壮絶。
「ヒトラーと戦った22日間」を見たのはもうだいぶ前で、ほとんど内容覚えてないんだけど、こっちのほうが真に迫っている印象でした。
埋もれてる映画みたいだけどかなり面白かったです。
mh

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