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そして俺は、ここにいない。のyadokariのレビュー・感想・評価

4.1
クンビアのリズムで踊る少年はアメリカへ来たがそこは希望の国ではなかった(トランプの移民政策後か)。いつまでも英語を覚えないメキシコ移民である彼には最低限の仕事しかなく、それさえも無くなって、路上でダンスをするのが日銭稼ぎだが、警察の取締が厳しく国に送還される。そこはアメリカよりも希望のない街で、暴力と麻薬が支配する国だったのだ。かつての仲間はみな死んでいくそんな夢の中の思い出。なによりもクンビアの物悲しい旋律と土着的なリズムが哀愁を誘う。その中で彼は自由に羽ばたく鳥になりたかったのかもしれない。

P.K。ディックの『暗闇のスキャナー』で午前4時にコンビニの前の路上でたむろする若者たちを追悼するあとがきがあるが、まさしくそんな子供たちの彼も一人なのである。ルールを知らない、まだ遊んでいられると思ったが仲間たちは次々に死んでいく絶望世界なのだ。そのなかでただクンビアのリズムで踊ることだけが生きる証のような映画だった。

そういう子供たちはどこの世界にもいるのだろう。言葉もルールも違う国にやってきた拠り所のない子供たちの映画だ。中華系の少女が彼と友達になろうとしたが言葉が通じなかった。それよりも文化の違いかな?
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