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しあわせのパンのMyonのレビュー・感想・評価

しあわせのパン(2011年製作の映画)
3.0
見るタイミングを間違えたせいで夕食を2回とる羽目に、悔しい。カンパーニュの憎たらしいほどの小麦色。口に入る季節の植物の(そうでない草花も)赤や黄緑。一見何でもないナチュラルな事物を魅力的に撮っている作品は大事にしたい気分にさせられる。

流行りのスローライフは良いけど田舎ぐらしの苦労とかがあんまり描かれていないのはナチュラルじゃなくね?と言えばその通りなんですが、監督さんはドキュメンタリー番組をよく撮られる方のようなので映画では敢えてこういう演出なのかな。本編で削ぎ落とした現実の苦々しさは冒頭のりえさんのモノローグに集約されているのではないかと。大人になったら「たいへん」や嫌いなものが増えて…

ごはんが美味しかったり、月がよく見えたりするだけで嬉しくなる。今や当たり前になった筈のそんな喜びを、フィクションを通さないと実感できないご時世になってきているのかも。
たべることはいきることと言いますが、重ね重ね食事も人生も誰かと分かち合うものだなあと思います。清志郎にうるっときたね。
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