Yutaka

アザー・ミュージックのYutakaのレビュー・感想・評価

アザー・ミュージック(2019年製作の映画)
4.5
今月末で閉館する京都みなみ会館で、NYのインディーシーンを支えたレコードショップ、アザーミュージックの閉店を映したドキュメンタリーを鑑賞。これ以上無い鑑賞環境だった。
自分も音楽がとても好きでレコード収集を趣味としているので余計に響くものがある。行き場の無い音楽オタク達を受け入れる場所としてのレコードショップ。特にインターネットが普及していない時代は新たな音楽の発信地としてオタクにとってはメッカの様な場所だった事が伝わってくる。特にこのアザーミュージックの求心力にはビビった。無名だったWilliam Basinskiの超傑作『The Disintegration Loops』を一躍有名にしたのも、アニコレのメンバー2人が働いていたのもアザーミュージック。名だたるインディーシーンの雄達がインストアライブしてたのも、彼らがインタビューに答えていたのも見ると音楽というカルチャーに貢献出来るのは決してクリエイターだけでは無いのだと1オタクとして感銘を受けた。
フィジカルからデジタル、デジタルからストリーミングへの時代の変化に流石について行くことが出来ず、惜しまれながら閉店する。創業者の2人や従業員の音楽とこの店に対する愛情に涙。やっぱり個人経営のレコードショップはタワレコやディスクユニオンじゃ出会えないような発見があるので、自分のようなオタクのためにも勝手ながら存在し続けて欲しいです。インターネットカルチャーの中の音楽シーンもイケてるけど、やっぱりフィジカルな場所が必要。NYは今までカルチャーの街だったのに今ではスタバと豆腐ヨーグルトしか無いと嘆くおじさんが印象に残った。
帰りの電車、bandcampで音楽聴きながら、早く家に帰ってレコードを聴きたくてウズウズしてた。選ばれたのはBlack Marbleの"It's Immaterial"でした。
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