めるち

アザー・ミュージックのめるちのレビュー・感想・評価

アザー・ミュージック(2019年製作の映画)
3.9
日本公開から1年待ち続けた甲斐のある本当にいい映画だった!

時代はアナログからデジタルに移行し、消費スタイルもモノ消費からコト消費へと変化している現代では、思いがけないフィジカルな出会いや人と人との直接的で深い繋がりは減る一方。
アングラ音楽とはほぼ無縁で映画が公開されるまでアザーミュージックの存在も知らなかった私は、この作品を街の小さな映画館で見た。ミニシアターもアザーミュージックと置かれている立場は同じで、厳しい状況の中でもなんとか生き残ろうと踏ん張っている。映画の多様性を守りながら作り手も育て、多くの人のプラットフォームとなっているミニシアターの文化の重要性を理解してはいるけれど、最近確実に映画館離れしている自分がいてもどかしくなる。余裕のなさを理由に封切り作品を映画館で見るというフィジカルな体験を諦めて後回しにすることで、次第に映画自体からも足が遠のくようになってしまった。音楽もCDではなくサブスクで聞くようになったし、変化する時代のあり方を自然と受け入れながらも慣れ親しんだ文化が消えていくのはやっぱり切なくて、どうにかしなければならないと感じる。難しいね。

ひたすら自分の好きなことを貫いて行動してる人ってなんでこんなに魅力的なんだろう?
きっと多くが大人になる過程で"好き"だけで生きていくことの難しさや限界を知り、大なり小なり諦めを経験して生きているんだろうけど、そんな中でも変わらず"好き"を届けてくれる人たちがいるからこそ豊かさを失わずに生活できてる人がたくさんいるはず。彼らの情熱を受け取りリスペクトしながら大切な居場所を守り続けていきたい。
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