アメリカン・ユートピアのbattutaのレビュー・感想・評価

徹底して映り込まない観客の顔。
観客のリアクションに同調させて感動を煽るという小細工を廃し、パフォーマンスのみで勝負するという覚悟。

しかし、人種差別的な暴力によって命を落とした黒人たちの名を呼ぶという、コール＆レスポンスのパフォーマンスに至ってもなお、観客たちの顔は大々的には映らない。

クライマックスの客席を練り歩く演出に辿り着いて、ようやく我々はそこにいる観客の顔を俯瞰し、気付く。

ここには白人しかいない。
これが「アメリカン・ユートピア」なのか。

スパイク・リーの強烈な皮肉。