radioradio526

アメリカン・ユートピアのradioradio526のレビュー・感想・評価

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)
4.5
「ステージ上から一番大切なもの以外全てを排除したら…何が残る?」

「アメリカン・ユートピア」鑑賞。

2018年に発表されたアルバム「アメリカン・ユートピア」のブロードウェイのショー。コロナ禍のために再演を熱望されながらも幻となった熱狂のステージを名匠スパイク・リーが見事に映像化。
グレーの揃いのスーツ(三つボタン!)に裸足、完全なコードレスでステージを縦横無尽に動き回るミュージシャンとダンサー。
極限のシンプルさでありながらも緻密に練り上げられた完璧な演出。
マーチング形式の圧倒的演奏とダンスパフォーマンスから目が離せない。

あまりに周りの評判が良過ぎて…しかも趣味が近かったり、センスの良い知人・友人がこぞって絶賛するもんだから、慌てて観に行った。
そもそもなんだけど…トーキング・ヘッズを全く通らずに生きてきた。30年近く音楽に近しい仕事してたってそんなものは山ほどある訳で…デビッド・バーンはスーツを着たインテリのミュージシャンでヘンテコなダンスをするおっさんくらいにしか認識していなかった。
(インテリっていってもブライアン・イーノとつるんでるからなぁ…程度の認識w)
記憶が正しければ、音楽誌クロスビートの創刊号も変なポーズのデビッド・バーンだったと思うが、やはり食指が動かなかった。とにかくずっとスルーしてた人だった。

いや…素晴らしい、素晴らし過ぎる。
コンセプト的なステージだと思うがガチガチなメッセージ性よりも音楽本来の力で人から人への伝播を真剣に取り組んだステージ。
一切のコードを排除したステージ、ステージから不要なものを排除したら何が残るのか?
答えはこの作品の中にある。

謎なのは、これをどうやって撮ったのかだ…多分観た人なら分かると思うがあの距離感で一発で撮るのは無理だ。複数回で撮った可能性は否めないが…スパイク・リー…鬼だわ。

文章で伝わる訳…無いね。大きなスクリーンで観れて本当に良かった。
朝イチの上映で観たけど、劇場はかなり観客が入っていた。
多分30人以上は入っていたかと…僕のような人もいれば、リピーターが多いんじゃないかと思う。
とにかく、終盤にかけてのあの多幸感は何なのだろうか?身体が動いて仕方なかった(迷惑!)
爆音上映とかやってくれないもんだろうか…参加型の映画とか嫌いなんだけど、生のライブがお預けを食らっている昨今なら、是非行ってみたい。
radioradio526

radioradio526