フェアにアンフェア

アメリカン・ユートピアのフェアにアンフェアのレビュー・感想・評価

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)
3.0
最高のショーだと思ったので、5なのかもしれないんだけど、映画の点数ならゼロでもいいような気もする。でもゼロは流石に意固地な気もして、4にしようかと思ったけど他の4つけてんのと趣違いすぎるし妥協の結果の3.0。

ショーに点数なんてつけられないんだけど、映画としてマイナスじゃないかと思うこと。

素材が少ない、カメラの数あと倍は必要だったと思う。楽してんじゃないよ。

まず後ろや上から撮ってるカットが妙に多い、前から観ることを前提としてるのに、上や後ろから観られてもそれほど意味がない、強いていうなら観客が映るとか舞台の広さが見えるということだけど効果的になってない。画面分割して何人か同時に移すとかバックショット以外にも画面を動かす手法はあると思うし、断られたんだろうけど、舞台の中に入るようなシーンも少ない。いろんな角度から写してることで余計に窮屈に感じるところがあった。

恣意的なアップやショットが多い、ダンスやギターの手元をアップしてくれるのはありがたいけど、全体のバランスを放棄して監督の意図が入ることで、ディヴィッドバーンの意図と合わせて作品の中に二人監督が存在してる時がある。バーンがここは近づく動きにしようとしてるのに、リー監督は離れていくようなショットを使っていたりする。

ボードで黒人被害者の顔出すのも、12人以外の人物が出るのはよくないと思う。名前を呼ぶことが大切なシーンで、みんなが同じ名前を唱えることで目的は達成されているのに蛇足。他にも作家やら出てくるのにこのシーンだけだし。BLMも内包するユートピアであって看板にしてるわけじゃないんじゃないかと思う。

カットを繋げて新しいストーリーを生むのが映画だとして、このショーから別の新しい物語が生まれてる気はしないし、そもそもそんな必要がない、名匠には失礼だけど、一つの出来上がった作品に他のアーティストはいらないんじゃないかと思う。