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アメリカン・ユートピアのmkmのレビュー・感想・評価

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)
5.0
なぜ私は、映画鑑賞のために映画館に来たはずなのに汗にまみれているのだろう。
薄手とは言えセーターを着てきたことに若干後悔した。

もしこの映画をご自宅で鑑賞していて意味不明だと感じたなら、一旦デヴィッド・バーンが訴えたいメッセージやストーリーといったものは一切忘れて、今すぐできる限り最高のホームシアター設備を整えて、もう一度ライブ映像として鑑賞してください。あるいは、お近くに上映している映画館があったらチケットを買ってスクリーンで観てください。

これはライブです。

今回の感想文は半分以上、映画本編というよりも劇場に対するものかもしれません。興奮が冷めないうちに駅前のマックに駆け込み、普段はPCからでないと文章なんて書きたくないところ、スマホの小さい画面に向かって熱を吐き出すかのようにこの文章を書いています。

今回、池袋の新文芸坐さんでスタンディング強制+ライティング演出付きの上映があると聞きつけて行ってきました。
マスク越しであれば発声も可能ということでまさにライブさながら、髪を振り乱し、踊り狂い、拳を振り上げ、デヴィッド・バーンの世界を全身で堪能しました。
臨場感たっぷりの音響と照明が、語彙力がなくて申し訳ないんですけど最高としか言いようがありませんでした。通常の上映ではまずあり得ない体験です。
新文芸坐さんのこだわりにブラボーを送りたい。

この映画が公開された当時、私は絶賛社畜中で、恥ずかしながらアメリカン・ユートピアという映画の存在を認知していませんでした。
前情報をほぼ入れずに鑑賞しましたが、トーキング・ヘッズ時代の曲まで聴けるなんて!

Hell You Talmboutはスパイク・リー監督らしい演出でした。と言っても、彼を強く感じる場面はこれくらいのもので、「極限まで無駄を排除した舞台」というコンセプトをよく汲み取っていたように思いました。
社会的な問題にも触れてはいますが、特定の思想を押し付けたり偏った発言があるわけではありません。

それにしてもデヴィッド・バーン、もういい年なのにめっちゃ声出るなぁ。すんごい伸びるし張りもあるし。

長々書いてしまいましたが、とにかく、下手なライブ映像よりライブな舞台映画です。時々ちょっと摩訶不思議な音とダンスのショーを一人でも多くの方に楽しんでほしいです!ぜひとも!!
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