じゅん

アメリカン・ユートピアのじゅんのレビュー・感想・評価

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)
4.9
2024/2/17の渋谷シネクイントでのスタンディング上映で観ました。
同日同館でのSTOP MAKING SENSE 4Kレストア スタンディング上映からのデヴィット・バーン2連続です。STOP MAKING SENSEはこの週みるのが2回めだったので週3 David Byrneです。

大変に素晴らしいものでした。
この映画はコロナ前夜あたりから知ってはいましたが、デヴィット・バーンというと、良くも悪くも孤高の偏屈さんというか、あと社会的視点が強め、でもって監督がスパイク・リーというと、
「環境に政治に、世界はこんなに大変なんだ! わかったかお前ら!」「ハイ…」
みたいな説教臭いものという先入観が生まれてしまい、敬遠で見送っていました。

とんでもなかったです。むしろ説教臭いものはよくないよね、という価値観がイントロのデヴィット・バーンとスパイク・リーのトークで明快になり、12人の演奏家によるミュージカルとパフォーマンスとダンスとライブがシンプルに美しく融合した2時間をつくづく堪能しました。
常に新しいものを学び続け、自分もアップデートしつづけるアーティスト・ミュージシャン・表現者による、ウィットとユーモアに富んだエンターテイメントの提示でした。すばらしかった。ポスターにある「批評家絶賛!」「一生に一度の、至福の体験!」は、まさにそのとおりでした。Once in a Lifetime.

音楽や映画は各個人の好みのものであり、押し付けたりするものではないが、誰しも一度は見てみてほしいなと思いました。

(J-POPのコッテリ転調ドバドバが好きな人、そういうものに耳が慣れきった人、自分がそうであるということに気づくチャンスがまだない人には、楽曲がやや単調ぎみに感じられるかもしれません)