すえ

アメリカン・ユートピアのすえのレビュー・感想・評価

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)
5.0
記録

『ストップ・メイキング・センス』の4Kリストアに圧倒され、以来ずっと観たいと願っていた今作、スパイク・リーとデヴィッド・バーンの特別対談映像付きを鑑賞。塚口サンサン劇場という愛に溢れた劇場が上映してくれていた。初来訪だったが、ミニシアターでありながら素晴らしい音響設備を備えていてとても良い映画館だった。映画館と観客がお互いに支え合って成り立っていることを改めて実感。

ライヴパフォーマンスの極北。この107分にデヴィッド・バーンの哲学、政治、芸術性、音楽性がこれでもかと詰め込まれている。この映画、ショー自体が彼の言う“つながり”の具現、可視化であり、互いに目を合わせ微笑み合うバンドマンたちには、目に見えない“つながり”が確かにある。

そして何よりも演奏が半端ない。ここまでのグルーヴを生み出しているのは言うまでもなく、多すぎるのではと思うほどのパーカス隊だろう。我々は普段、特に何にも思わずに歌い、楽器を弾くが、やはりそこには基本となるテンポとリズムがある。音楽はリズムから始まるという、至極当然だが忘れがちなことを思い出させてくれた。

人間同士のリスペクトに満ちていた、これほどの多幸感に溢れ、メッセージ性に富んでいる映画は他にないだろう。ライヴのラストでは自然と涙が伝った、至福の時間だった。もうホントにありがとうとしか言えないっすわ、ありがとう。

2024,71本目(劇場20本目)3/23 塚口サンサン劇場
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