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静謐と夕暮のKUBOのレビュー・感想・評価

静謐と夕暮(2020年製作の映画)
3.0
映画祭でご縁があった俳優さんの新作『静謐と夕暮』を見にシネマロサへ。

サンパウロ国際映画祭で新人監督コンペティションで上映された本作。

まず冒頭から「台詞」がほとんどない。30分経ち、1時間経っても、ない。ラジオの声、テレビの声、居酒屋での客の愚痴、ところどころ「音声」は入っても、それは環境音の域を出ない。

後ろ姿、後ろ姿、後ろ姿。カメラは執拗にキャストを後ろから捉える。たまにあっても横顔。正面から捉えたキャストが話すシーンはほとんどない。

独特の作風、独特のカメラワーク、そして難解な編集。

一見バラバラだったそれぞれの登場人物たちが、最後で冒頭のシーンにつながり、ここまで封印していた言葉たちが流れ出す。

ただ、私もかなり集中して見たつもりなのだが、HPにある「あらすじ」を読んで「え?そうだったの?」ってなったし、監督の梅村和史さんのご挨拶にある「思い」まで伝わらなかったのは事実。

これは勝手に、全て理解する映画じゃなく、流れる日常の光景の中から何かを感じ取れればいい映画なのだろうと解釈した。

実験的、挑戦的なアート作品ではあるが、起伏と台詞のない映画で136分は長い。

お目当ての入江崇史さんは、やはり絵になる俳優だ。
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