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アクアマン/失われた王国のyahのレビュー・感想・評価

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)
2.5
世界最速上映となったジャパンプレミア。
T・ジョイ PRINCE品川 IMAXデジタル3Dにて鑑賞。

『アクアマン』としてはシリーズ2作目だが、本作はザック・スナイダー監督が手掛けた『マン・オブ・スティール』から始まる「DCエクステンデッドユニバース(DCEU)」の、実質的な完結編に当たる。

そして、その「実質的」が意味するのは「シリーズ不振による事実上の打ち切り」である。

アクアマンが所属するヒーローチーム『ジャスティス・リーグ』はもちろん、一世風靡したマーゴット・ロビー演じたハーレイ・クインの『スーサイド・スクワッド』など数多の作品を世に送り出した10年間の締めくくり、それが本作『アクアマン/失われた王国』だ。



泣いても笑ってもこれが最後。

『ソウ』でホラー界に革命を起こし、『ワイルド・スピード SKY MISSION』『マリグナント 狂暴な悪夢』などの名作を次から次へと世に送り出す天才ジェームズ・ワン監督の手に掛かれば、『アクアマン/失われた王国』は爽快感溢れる海中アクション大傑作に仕上がる、そう信じていた。


🌊🌊🌊以下微ネタバレ注意🌊🌊🌊
※ストーリーの核心には触れません








しかしながら、私たちがこの目で見たものは間違いなく『ジュール・ヴェルヌとレイ・ハリーハウゼン、そしてジョージ・ルーカスに強いオマージュを捧げた怪獣映画』であった……。

冒頭より早速複数のモンスターが現れる本作、そのデザインはどう見てもハリーハウゼンスタイルだ。露骨なホラー描写にて、本作ではモンスターが活躍することを強く匂わす。


前半は『アクアマン』的な展開、アクションが多いが、中盤からは目も当てられないほど監督のエゴがゴリ押し。
私たち日本人にとっては東京ディズニーシーのエリアやアトラクションでもお馴染みの『海底2万マイル』『ミステリアスアイランド』『センターオブジアース』など、ジュール・ヴェルヌが手掛けた各原作小説を直接的にオマージュ…というより、もうやりたいように映像化したような展開が続く。

未知のモンスターたち、巨大化した虫や食虫植物、神秘の島(火山)、潜水艦(ノーチラス号)……映画ファンでもドウェイン・ジョンソン主演『センター・オブ・ジ・アース2』を観たことがある方なら、多くの類似点に気付くだろう。



後半はもちろん仲間たちや世界が命の危機に襲われるのだが、そこら辺の危機感といい、ラストバトルの盛り上がりといい、全体的にぬるっとしている。

そもそも今回の敵が前回のサブ悪役であるブラックマンタな時点で、小物感が拭えないのだ。


⚡️⚡️⚡️

そして本作は『ザ・フラッシュ』のような他作品からのゲスト出演、カメオ出演が一切が存在せず、『DCEUの10年間を締めくくる完結編』と納得できる要素は皆無だ。

時系列では『アクアマン/失われた王国』→『ザ・フラッシュ』の順らしいが、それを裏付けるセリフや描写は全く存在せず、一般客どころかちょっとしたアメコミ映画ファンにも全く伝わらない、というか伝える気がない。


🪼🪼🪼

そもそも2023年2月時点でよくテスト試写の評判が「DC映画史上」最低とも呼ばれ、再撮影を繰り返したとのニュースもあった。
余計なシーンを削ぎ落とし、撮り直しに撮り直しを重ねた完成版が『コレ』っていうのはなかなか……。

単体作品としてはまあ許容範囲だが、DCEU完結編と言われてしまえば正直「目も当てられないほどの出来」かもしれない。


🌊🌊🌊

改めてライトユーザー向けの「なんとなく今観る映画」としては及第点は超えていると思う。

しかしながら、DCEUを締める完結編という十字架を背負ってしまった本作は、正直「製作されなかった方がジェイソン・モモアとジェームズ・ワンの評価が高いまま終わることができた映画」だとさえ言えるだろう。


やはり最後は『ザ・フラッシュ』の世界改変エンディングで終わるべきだったのではないか。
『ザ・フラッシュ』ポスクレに登場するアクアマンにならやかった飲んだくれ男のアーサーも、何も本作には結びつかない。
そして今作の未来にも、DC映画の未来にも結びつかないのであろう。


🐙🐙🐙

ちなみに、私が最も楽しめたシーンはアーサーの父トム・カーリーを演じたニュージーランド出身俳優テムエラ・モリソンが、ラストにて何の脈略もなく突如披露する「ハカ」である。


東京コミコンでも大歓声を巻き起こしたテムエラのハカのために、みなさんも映画館に足を運んでほしい。



🎬🎬🎬

そりゃあこんな映画を野放しで製作させていたウォルター・ハマダ時代のDCEU、ジェームズ・ガンも呆れて終わらせるわけである。
酷かった。酷かった。

本作のレッドカーペットや大々的なプレミアが本国で開催されないのも当然だろう。
モモアにとっては単なる恥晒しかもしれない。




DCEU完結作・最終作とでなければ☆3.4。
しかしながら現実はこれで見納めなので、大幅減点。


何だったんだこの映画は。東京コミコンで買ったムビチケどうすればいいんだ。
yah

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