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アクアマン/失われた王国のmaverickのレビュー・感想・評価

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)
4.0
2023年のアメリカ映画。「DCエクステンデッド・ユニバース」の第13作目であり、最後の作品。


待望の続編。なのだが、びっくりするくらいに平凡な出来。ごたごた続きで「DCエクステンデッド・ユニバース」は中途半端に終了することになり、そのあおりを受けたせいでもあろう。有終の美を飾るには、あまりにも印象の薄い作品だなと。でも『アクアマン』らしい爽快な作品性なのは良い。頭空っぽにして楽しんで観るのが正解かな。

アクアマンことジェイソン・モモアの魅力で本シリーズは成り立っている。他のキャストも続投で嬉しい。パトリック・ウィルソン演じるオームが本作では大活躍で、兄弟の絆を大いに感じさせる熱い話だ。メラ役のアンバー・ハードは続投が危ぶまれていたが、今作でも重要な立ち位置で出番も多いのは安心した。ニコール・キッドマン、ドルフ・ラングレンと、キャストの魅力は相変わらず素晴らしい。それだけに脚本の薄さが残念である。

海底世界の描き方が独特なのも本作の魅力。マーベルの『ブラックパンサー』のように、オーバーテクノロジーな見せ方がわくわくさせる。でもCGの質感が違和感ではあった。やたら綺麗すぎるんだよね。リアルな自然の美しさというものが感じれなかったし、そこを大事にしてほしかったな。あと綺麗すぎるCGでの虫の質感は勘弁してもらいたかった。海外映画はやたらと虫をリアルに見せたがる。自分がこの世でもっとも嫌いなアイツも美麗なCGで描きやがって。そいつが潰れる音までこだわって作りこみやがって。本当に悪趣味だぞジェームズ・ワン。

今回は父親としての面もある主人公だが、それよりは兄弟愛の方に比重が置かれた話である。熱い兄弟愛に魅力はあるが、物語的にはもっと作りこんでほしかったなと。『マイティ・ソー』の、ソーとロキのようなものが見たかった。二人が手を組む割には敵がチープなのもいただけない。ヴィランがもっと強大な方が盛り上がったよね。


「DCエクステンデッド・ユニバース」は本作で最後ということだが、アクアマンもリセットされてしまうのか。個人的にはジェイソン・モモアが演じるアクアマンが大好きだし、この世界観は引き継いでもらいたい。『アクアマン』だけで続けても良いじゃないか。本シリーズに限らず、「DCエクステンデッド・ユニバース」でメインキャラを演じるキャストは素晴らしい面々だっただけに本当に残念。プロジェクトの終了は、キャストの熱意を無駄にする許し難い行為だ。『アクアマン』はどうなるか分からないが、良い方向に向かってくれると信じたい。『3』があると期待しよう。
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