日頃の行いは間違いなく悪いのだが、東京国際映画祭の当日券を残りあと2枚というところで買えてしまったのだ。人生最大の快挙である。
予告編を見たときから「これで最後かもしれん」という思いが頭から離れず、恐怖と覚悟で壊れそうになりながら観に行った結果ーーーーーー
満面の笑顔で劇場を後にしていた。
何が最後なものか、イーストウッドはまだまだ映画を作り続けるだろう。そう確信できる一本であった。
前作「リチャード・ジュエル」が公開直後からのアメリカでの大茶番を予言するかのような暗さと鋭さを持っていたのに対し、ここで映し出される闇はどこかアバウトであり、展開も山あり谷ありおバカあり恋愛ありと、初期のイーストウッド作品(同時期に脚本がかかれた「ブロンコ・ビリー」や「センチメンタル・アドベンチャー」が最も近い)を彷彿とさせるやりたい放題ぶり。しかし上記2作の時よりも彼の演出力は向上しており、それが人間ドラマとして一貫した温かみを生み出し、観るものをどうしようもないほどの多幸感に包んでくれる。
こんなイーストウッド映画あるようでないぞ!彼に後退の2文字はないのか!! 畜生!!!こっちだって全力で追いかけ続けてやるぞ!!!!