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クライ・マッチョのsomaddesignのレビュー・感想・評価

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)
3.5
少年の成長や黄昏の恋……とかどうでも良くなる平和っぷり

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落ちぶれた元ロデオスターの老人が、親の愛を知らない少年とともにメキシコを旅するロードムービー。

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すげえふざけた邦題だと思ったら原題も「CRY MACHO」。
N・リチャード・ナッシュの同名小説の映画化で、wikiによれば88年から企画されていた映画。88年当時はイーストウッドが主演オファーを受けていたものの「主人公を演じるには私は若すぎる」と辞退。代わりに監督を引き受け、ロバート・ミッチャムを推した。91年にはロイ・シャイダー主演で撮影まで進むも完成せずに終わる。バート・ランカスターやピアース・ブロスナンを主演に起用する案が不調に終わり、2003年にアーノルド・シュワルツネッガー主演で企画が進むも、直後にカリフォルニア州知事に当選したので保留に。2011年の州知事退任後、ブラッド・ファーマン監督のもと再び企画が動き出すが、シュワルツネッガーのスキャンダルで頓挫。2020年になってイーストウッドがプロデューサー・監督・主演を務めることが発表される。

ことほど左様に、制作から完成まで紆余曲折ありすぎて「ロスト・イン・ラマンチャ」のよう。同じように制作したり頓挫したりする映画は山ほどあるんだろうな。

イーストウッド監督作はますます枯山水みたいな境地になってる気がする。
無駄を削ぎ落として、辻褄の合わないディティールとか全く気にしない(路肩に落ちたはずの車が、次のシーンだと路側帯に乗り上げてたり)
近年ハリウッド映画でも長くなりがちなエピローグが超あっさり。70年代の映画みたいなバッサリ終わる感がいっそ新鮮。

特に大きな出来事があるわけじゃないので、いい湯加減のお湯に浸かってボンヤリする気分で見るが吉。90歳を過ぎてなお「モテちゃって困る俺」を演じるイーストウッドを楽しむばかり。


4本目
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