しゅうへい

クライ・マッチョのしゅうへいのネタバレレビュー・内容・結末

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ロデオ界のスターだったマイクは落馬事故をきっかけに栄光の座から転落。妻子を自動車事故で亡くすという悲劇にも見舞われ、テキサスで孤独に暮らしていた。そんなある日、元雇い主からメキシコにいる息子を連れ戻してほしいと依頼される。

クリント・イーストウッド監督デビュー50年・監督作40作目となる記念碑的作品。旅の道中災難に巻き込まれながらも、偶然出会った人々との交流、老人から本当の強さと優しさを学び非行少年は成長していく。老人と少年の心温まるロードムービー。同監督作品『運び屋』を連想するが緊迫感は全くない。ただゆっくりと時間が流れる情緒溢れる作品。

寡黙で頑固なお爺さんに皆目線を合わせて接する優しい世界。下手に敬う訳ではなく、冷たくあしらう訳でもない平等な関係。都合の良い展開が続くがそれは素晴らしいこと。でも高齢(役の年齢は明かされないが、本人は撮影時90歳)の老人に単身で国境跨がせ誘拐紛いの仕事を任せたり、初対面の金持ち美女に誘われたりするのは流石に無理がある。少なくとも相手側は揶揄ってる様子はない。確かにあんたは偉人で今でも男前だがもう若くない。自身が監督で主演の作品ならではなのか。この年で監督兼主演は凄いなんて野暮なことは言わない、イーストウッドとはそういうお方だと思う。

一方でイーストウッドの演技や作品には言葉では言い表せない程の元気と活力を貰える。見慣れたハットは相変わらず似合うし、暴れ馬を華麗に乗りこなし落ち着かせる生涯現役のカウボーイには魅せられた。「年を取るのも悪くない」そう思わせてくれる程に彼は魅力的な男。至高の存在がどこまで走り続けるのか今後に期待。

作中で描かれるメキシコの田舎は物騒で治安が悪く、メキシコの男は車を盗み子供を誘拐し、アメリカ人を鼻で笑う癖があるというのは本当なのか?アメリカ人目線で大袈裟に描いただけと信じたいけど…。割と呆気ないラストだったが、彼を父親の元に行かせて本当に良かったのだろうか?少年が幸せに暮らしていることを願いたい。
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