べえさあ

レミニセンスのべえさあのレビュー・感想・評価

レミニセンス(2021年製作の映画)
3.5
“…But memories,even good ones, have a voracious appetite. If you’re not careful, they consume you.”
「〜記憶は、たとえそれが良いものであれ、貪欲だ。油断しているとこっちが呑まれる。」

大好きな俳優の一人ヒュー・ジャックマンが主演ということで楽しみにしていた作品。世界観としてはすごく好みの作品だったのだが、以下の通りツッコミどころも多くあり惜しいなぁ、、という印象だった。

最近では男気あるカッコいい男か愛や夢で視野狭窄に陥る男のどちらかの役に偏っている印象があるヒュー・ジャックマンが本作では一体どんなキャラクターを演じるのかと思っていたが、、、今回演じたニックは後者の男であった。だが、いずれにせよハマり役ではある。

海面上昇によって都市が沈んでいる近未来の設定は現実味もあってとても好きだったが、記憶を再現して映し出す装置の仕組みにはモヤモヤした。流石にそもそも本人の視界に入っていなかった部分を俯瞰的な視点で映し出すのには無理がある気がする、、。

恋愛ストーリーでは要となる2人が惹かれあうきっかけについては、メイがニックに惹かれた理由として、自分を侮蔑するような目でずっと人から見られてきた中、初めてそれとは違う目で自分を見てくれる人に出会えたからだというのは理解できる。そしてニックが他の人とは「違う目」でメイを見ていたというのも事実ではあるのだが、メイが思っていた見られ方で実際にニックはメイを見ていなかったとは思う、、。結果的に二人が幸せになれればオッケイなのかもしれないが少し複雑な気分になった(笑)

過去に囚われすぎず、幸せなひと時も辛い思い出も全て噛みしめてこれからの人生と向き合うことの重要性を説く流れにもっていくのかと(勝手に)思いきや、ニックが最後の最後まで過去の幸せに執着していたため、結局何を伝えたいのかで困惑した、、。過去自体が我々を苦しめてくるのではなく、過去の良い記憶も悪い記憶もどう捉えて今を生きるかは自分次第ということなのだろうか。

本作の中で親友兼ビジネスパートナー?のワッツが良い仕事をしていたと思う。色々ツッコミどころの多いニックの言動に対してワッツが視聴者の声を要所で代弁し、話を多少まとめてくれていたのが救いだった。

日本ではジョナサン・ノーラン製作ということで大きく宣伝していたが、インターステラー程凝っているストーリーを期待していると少し違うと思うかもしれない。欲を言うと、見ているものが現実なのか記憶の中なのか考えさせられる感じでもう一捻りあるともっと面白くなった気がする。

上記のようにひっかかる部分は多くあって期待通りではなかったですが、設定としては好きな要素もあったので今後のリサ・ジョイとジョナサン・ノーラン作品も楽しみにしていきたいと思います!