るるびっち

レミニセンスのるるびっちのレビュー・感想・評価

レミニセンス(2021年製作の映画)
3.3
クリストファー・ノーランの弟のプロデュース作品。
脚本・監督は、彼の妻リサ・ジョイである。
夫が作りたかったのか妻が作りたかったのかで、印象が変わる。
本作は、昔のハードボイルドの世界をSF風にしたものだ。
ファム・ファタールに惑わされる私立探偵という、おなじみのハードボイルド作品『三つ数えろ』『マルタの鷹』と同じテイスト。

なので男性作家が作ったら、未だにそんな古臭い誇大妄想的な男の夢の話を追っかけてんのバカじゃない? という印象になる。
女性作家が作れば、なんで昔の親父の夢なんかに興味を抱いたのか疑問が湧く。
オッサンが、『キャンディ・キャンディ』みたいな昔のコテコテの少女漫画を描くのと同じで、なんで? と思うのだ。

一目惚れした運命の女の影を追いかけていく中年男の悲哀。
気恥ずかしくて、今時の男はこんなの作れませんよ。
未来の話なのに、ノリは30年代だ。
きっと嫁に押し切られたのだな、カカア天下だ。
女の方が、古い男性優位作品を再現したいものかも知れない。
少女漫画も、本気で昭和のノリを再現したいのはむしろ男性作家ではないだろうか。女性作家なら、アホらしくて描けないだろう。

内容としては、昔のハードボイルド物の域を出ておらず大した物ではない。今時こんなものを復活するには、 SFの形を・・・或いはノーランの名義を借りなければ復活できないのだろうと感じた。

では、リサ監督の視点はどこにあるのだろう?
ずっと側に居るのに、相棒の女性を一度も振り返らない主人公。
遠くにいる綺麗な女ばかり見詰めている男に対して、やるせない相棒の女性。鈍感な馬鹿男である。
それを、いつまでも好きでいる女。
そこに監督の一番訴えたかったことがあったのではないか?
結局、古臭い男の誇大妄想に溜息をつく女の映画なのだ。
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