江戸川のくわまん

レミニセンスの江戸川のくわまんのレビュー・感想・評価

レミニセンス(2021年製作の映画)
3.6
この世にハッピーエンドは果たしてあるのか・・・

言葉は悪いですが、SFで謎解きはいわゆる「何でもあり」状況に持ち込めるわけで、この系統の映画のポイントは2つ。
「SF要素の斬新さ」と「SF要素以外のサスペンスの出来」ですね。
そういう意味で本作の前者は水没間もない2極化の近未来とか、頭に電極付けて水槽に入ってとビジュアルの新味は全くない。後者の記憶探索や金持ちの財産関連とかは特にSFでなくても手垢が付いた題材といっても過言ではない。(盛り上げるためか、主人公の強いんだか弱いんだか半端な描き方も超残念・・)
つまり冒頭の15分くらいで「ああ、こっち系ね・・」とやや残念に感じて見終わってもSFサスペンスとしてその印象は変わらない。
ただこの映画すごいのはテーマの「記憶」というのをとても細かく繊細に描いているので映画がどう進んでも「記憶って・・」とずっと考えさせてくれるんです。
ストーリーや展開は大したことないのにテーマを脇に置かず常にセンターに置いた演出はとてもいい。全て未来の話なのに今を未来に、記憶を今(我々の現代)に見せるビジュアルや音楽が効いていると思います。

「記憶」は絶対に過去のもので絶対に変わらない。
でも知らない過去は記憶にならずにだからこそ物語の途中なのにハッピーエンドで終わることができる。
記憶が全てではない以上は良くも悪くも今や過去がハッピーエンドかどうかはわからないのだから。
ハリウッド的に作らなかったら傑作になったかも?
ヒュー・ジャックマンとレベッカ・ファーガソンはとても良かったです!