Elly

ハム・オン・ライのEllyのネタバレレビュー・内容・結末

ハム・オン・ライ(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

山崎まどかさんのトークショーがあると聞き、
衝動的にシアターイメージフォーラムで鑑賞🎞

山﨑さんが「言語化できない、こぼれ落ちてしまうようなモヤモヤを感じるとても良い作品」と仰っていたのだけど、本当にその通りの作品でした。
かなりスロウで説明や会話も少ないので困惑したけど、個人的にはヘイリーが置かれた場所の寂しさにとても共感できて面白かった。

今までずっと一緒だった友達や同級生が高校卒業とともに物理的にだけではなく精神的にも突然どこかへ行ってしまう(画面の中では文字通り消えてしまう)ことに焦燥感や困惑を覚える体験がぶわっと蘇り。

細かい演出や出来事が寂しくて仕方ない。
皆がモンティーズを出た後に談笑しながら歩くシーンで突然画面の粒子が荒くなって、まるで過去の出来事のように映された時は18歳の皆はもう過去になってしまったと暗に示されたような気がしたし、その後画面からまるで編集したかのように強制的に消されてしまうのも、グウェンやケイティーからかけ直されることのない電話も全て寂しかった。

日常シーンも大変好きでした。
大人たちの全く盛り上がらない意味のない会話や長い沈黙など、とにかくぎこちない時間が続く後半、つまらなく感じて眠くなる体験までセットでかなり良かった。18歳の青年たちが期待に満ちて語る大人になったところで日常は輝きはしないし、いくら時が経ってもある日突然人生が変わるような劇的な出来事は起こりはしないこと。これらが淡々と描かれるのに個人的には優しさを感じた。(あの大人たちの半分は消えた皆の未来でもある)

偶然機会を得て見た作品だったけど、とても好きな映画だ〜
Elly

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