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ビー・ジーズ 栄光の軌跡のPikKaのレビュー・感想・評価

ビー・ジーズ 栄光の軌跡(2020年製作の映画)
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バリー、ロビン、モーリスのギブ3兄弟が世界的ヒットを連発したビー・ジーズとして活動し、その数々の栄光とその裏にあった苦悩や葛藤、脱退、再集結、別離など、バンドとしてだけではなく家族としての彼らに迫ったドキュメンタリー。

彼らの幼少時の生い立ちから、
音楽に触れることになった時の話、
両親や末弟のことまで…
彼らの全てが収められています。

楽曲制作の舞台裏にも密着。

当時まだ彼らが取り入れてなかったファルセット。
そこに着目し提案したプロデューサーの目。

「自分に、こんな声が出るなんて思いもしなかった」

驚きながらも嬉しそうに話す彼らの姿に
思わず私まで微笑んでしまった。

反ディスコの幼稚で憎悪しかない妨害に遭おうとも彼らは常に道を探す。

映画や他アーティストへの楽曲提供も多く、彼らそのものを知らなくとも、
曲を聴けば気付く人もいることでしょう。

それくらい彼らの功績は偉大なんです。

そんな華やかさの裏には
嫉妬、苦悩、葛藤、
不協和音や別離、酒、ドラッグ…

裏側にあることは彼らだけじゃなく、
他のバンドやグループにもありがち。

でも彼らの場合は少し違う。
血の繋がった兄弟であり、
家族なのだ。

その関係性は時には他者が入り込む余地などない強力な絆であると同時に、時に繊細で修復不能にまで敏感な張り詰めた状態にもなってしまう。
歳が近いならなおのこと。

他人なら縁を切って
互いを見なければいいだけ。

兄弟だからこそ
できたこと。
だけど、
兄弟だからこそ
できなかったこと…

良い時も悪い時も
「兄弟」という絆に
縛られた彼らの関係性。

それでも彼らは音楽を愛し
音楽とともにあり
音楽によって
何度でも引き寄せ合う。

完全に分かり合えなくても。
晩年は再び距離を置いていたとしても。

弟3人に先立たれた長兄バリーの胸のうち。
その姿を見て寂しく涙が溢れてしまう。

栄光と功績の裏にあった影…
兄弟ゆえの苦悩や葛藤を抱えながらも、
それでも彼らを繋ぎ止めた才能と音楽の偉大さ。

深い喪失感と悲しみと同時に
彼らが丸ごと愛しくなる記録。 
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