Train

ソプラノズ ニューアークに舞い降りたマフィアたちのTrainのレビュー・感想・評価

4.2
原題の"Many Saints"ってイタリア語のモルティサンティ(今作の主人公の姓)を英語に直したものらしい。なるほど、上手いタイトルだな。

故ジェームズ・ガンドルフィーニ主演の名作ドラマ『ザ・ソプラノズ』の前日譚映画。若かりし頃のトニー・ソプラノを実の息子のマイケル・ガンドルフィーニが演じる。主人公は後にファミリーのボスとなるトニーに大いに影響を与えたとされる叔父ディッキー・モルティサンティであり、今作はドラマ本編では有耶無耶にされた彼の死の真相までを描く。 

初めに言っておくとドラマ未見で見ることはオススメしない。話についていけないとかではなく、独特の雰囲気を知らずに見ると地味なマフィア映画にしか見えないのである。ハッキリ言ってしまうと起こることはめちゃくちゃ些細なレベル。過去の名作マフィア映画やマフィアの激しい抗争を期待すると絶対肩透かしを食らう。ドラマ本編もそうだが基本コメディなんで。短気な奴は些細な事でキレて全てを台無しにし、アホな奴はアホな事して痛い目見る。そういう作品なんす。まあ、ほぼファンしか見ないと思うけども。

ディッキーの息子であるクリスの"あの世"から語りかける構成やドラマ本編ではトニーの回想だった場面の再現とかの基本的なファンサービス要素を押さえつつ、ちゃんと物語と並行しながらディッキーの人物像を深々と描いていたのが良い。暴力的一面を持ちつつも意外とセンシティブな性格は何処かトニーを彷彿とさせる。罪を隠すように善行を重ねようとするが暴力の血からは逃れられない。ホント、トニーとそっくりだ。

全体的にテンポよく進んだ印象だが正直あと30分あっても良かった。それくらいあればトニーに関してもうちょっとだけ深堀りできたんじゃないのかと思う。

RIP レイ・リオッタ
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