クシーくん

三人の和尚のクシーくんのレビュー・感想・評価

三人の和尚(1980年製作の映画)
4.0
1980年代の上海美術映画製作所を代表する作品。
中国のことわざに「一个和尚挑水吃, 两个和尚抬水吃, 三个和尚没水吃」というものがある。
「和尚が一人、水を担いで飲む。和尚が二人、水を(二人で)運んで飲む、和尚が三人、水を飲む事は出来ない」
一人だと水桶を天秤で担いで効率よく桶二個分飲める。二人だとお互いの責任を分担し合う結果、一つの桶をしぶしぶ二人で運ぶ。二人で一つ分しか飲めない。三人だと「誰かが水を汲みに行くだろう」という事になり、結果誰もやらずに水が飲めない。という事らしい。
早い話が「三人寄れば文殊の知恵」の対義語で、「船頭多くして船山に登る」と言った所だろうか。その古諺通りに物語は展開する。

まんが日本昔ばなし以上にシンプルでゆるゆるな作画だが無駄が無く、濃淡の効いた色彩も上品で、何より非常に見やすい。台詞が一切無く、三人の僧侶の動きや感情を表現するのに、それぞれに異なる楽器の音色が当てられており、バラバラだった三人の音色がクライマックスに合わせて調和していく構成もお見事。
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