うにたべたい

遊星王子2021のうにたべたいのレビュー・感想・評価

遊星王子2021(2021年製作の映画)
4.0
昭和の特撮ドラマ『遊星王子』を河崎実がリブートさせた映画作品です。

荒川区南千住近辺にある個人商店のパン屋さん「大村パン店」に、ある日突然、侵略宇宙人・タルタン人が現れます。
タルタン人がパン屋の娘「君子」に襲いかかったその時、全身奇抜なスーツに身を包んだ謎の男「遊星王子」が現れ、君子を救います。
パン屋に居候することになった遊星王子は、タルタン人から人類を救うヒーローとしてテレビで特集を組まれ、なべやかんの番組のゲストとして呼ばれるなど、一躍人気者になります。
だが、君子に片思いをしている君子の同級生のやつはおもしろくなく、タルタン人と手を組んで良からぬことを企む、という展開です。

本作の遊星王子は変身ヒーローではなく、最初から最後まで遊星王子として登場します。
正体バレバレの人間体から顔面丸出しの衣装に着替えて戦い、最後まで頑なに自分が遊星王子だと認めない靴磨きの男は登場せず、記憶を失った宇宙人として"遊星王子"が登場します。
タルタン人が超弱そうなポンコツロボットで襲いかかったり、遊星王子が地球に来た目的など、原作から持ってきた設定があって、遊星王子に対するリスペクトを感じました。
そのため元作品を知っていれば類似点を楽しめますが、ワクさんの登場はなく元作品とのつながりもないので、視聴に先んじて元作品の履修は必須ではないです。
元作品を知っていても、知らなくても楽しめると思います。

終始真面目な展開の元作品と違って、河崎実らしい平和な作品になっています。
空を飛び、ハイパーパワーを持ち、空腹時にはアンパンを頬張る遊星王子は、天然で憎めない、良いキャラクターと思いました。
途中サブリミナル的にメグ・ライオンや電エースの宣伝を挟んだり、吉田照美氏にロバマンをアピールさせたりといった演出が挟まるのはお約束ですね。
ただ、映画として普通におもしろく、最後まで楽しんで見ることができました。

河崎実作品は、びっくりするほどグダグダで素晴らしい作品と、少し変だけど普通におもしろい作品の二種類があると思っているのですが、本作は後者で、初心者にも安心な河崎実作品だと思います。
河崎実作品なのに、ツッコミどころが少なくて寂しさを感じるくらいでした。
個人的には、ラストバトルは必要性そっちのけでタフマンを登場させて、うっかり地球ごと破壊するくらいでちょうどいいと思うのですが、そんなことをしたらレビュー大荒れだと思うので、まあこれで良かったのかと思います。