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マダムのnanaのレビュー・感想・評価

マダム(2019年製作の映画)
3.5
ステファン・リートハウザー監督のドキュメンタリー映画。

ブルジョワ階級の祖母と同性愛者の息子の対話のドキュメンタリーと聞くと、保守的な祖母に理解してもらえない孫の様子が連想される。しかし、本作では、祖母の側もまたマイノリティとして社会と闘ってきた存在である。お年寄りと若者の二項対立ではなく、協力し合う関係。そこが、最近数多く上映されてきたLGBTQを題材とした映画と異なる興味深い点である。

また、孫息子が語る祖母のストーリに胸を打たれる。祖母が味わった強制結婚をさせられたときの恐怖、女性実業家が認められない悔しさ。そういった感情が丁寧に描き出されている。きっと、取材者の側も同じ苦しみを味わったからであろう。世代も性別も違うけれど、同じ痛みを背負った孫息子が彼女の過去を救っているように思える。
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